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【文章力向上】小説家の語彙力アップ術~豊かな表現で文章に厚みを与えよう

語彙を増やしたい!

小説を書くとき、「語彙力が足りない」「似たような表現ばかりになる」と感じたことはありませんか?

語彙の幅が狭いと、表現が単調になったり、似た言葉ばかりになったりで、せっかくの物語が薄味に感じられてしまいます。良い小説を書くためには、やはり語彙力が必要です。

語彙力を上げるには相応の時間が必要となります。ただ、すぐに語彙力を高めたいという人もいるでしょう。

この記事では、小説家志望者・作家向けに語彙力を高める具体的な方法を、長期的・短期的方法に分けて紹介します。

語彙力の必要性

語彙力の有無が読者の没入感を左右する

豊かな語彙は表現を豊かにし、登場人物の感情や場面描写に厚みを与えます。

同じ「笑う」でも、「ほほえむ」「哄笑する」「嘲笑する」では異なる感情から笑ったことは明らかですよね。

作者が意図するニュアンスを読者に伝えられるかは作者の語彙力次第なのです。

キャラクターの個性を描き分けられる

登場人物ごとに語彙の選び方を変えることで、そのキャラクターの個性が際立ち、リアリティが生まれます。

たとえば粗野な人物が小難しい単語を使っていたり、子供が学校で習っていないような言葉を話していたりしたら、読者は違和感を抱くはずです。

それぞれの人物像に合った語彙を選ぶことで、そのキャラクターらしさとリアリティを出すことができます。

助手ちゃん

頭がいいはずのキャラが語彙に乏しかったら、作者の頭が悪いんだろうって思われそうですよね

レイボン

語彙力を鍛えないと、書けるキャラの幅も狭まってしまうよ

語彙力を伸ばすための具体的な方法

語彙力というのは少しずつ向上するものです。しかし今現在小説を書いていて、「いますぐ語彙を増やしたい」という方もいるでしょう。

そこで、「着実に語彙力を向上させる長期的方法」と「瞬発的に語彙を増やす短期的方法」に分けて語彙力を伸ばす方法を紹介します。

着実に語彙力を向上させる長期的方法

ひたすら読書する

できるだけ多くの本を読みましょう。いろんなジャンルのいろんな著者の本を読むのが理想です。

ファンタジー専門だからといってファンタジー小説しか読まなかったら、身に着く語彙は偏ってしまいます。

ファンタジーでも登場人物が恋愛することもあれば、いろんな職業の人物が登場することもありますよね。特定のシーンだけ語彙力が豊かだと読者に違和感を与え、没入感を阻害してしまいかねません。

どのジャンルの小説を書くにしても、あらゆるジャンルでの語彙力を備えていてこそ表現の深みが出るものです。

「語彙力向上ノート」を作る

読書をする中で自分の知らない単語や表現を見つけた場合や、日常生活の中で意味を知らない言葉を耳にした場合は、逐一その意味を調べるようにしましょう。

また、「語彙力向上ノート」を作ってそれらの単語や表現をメモしていくことをお勧めします。

あとから見返せば自分の語彙力がどれほど向上したかを実感できますし、長期記憶から取りこぼした言葉がそこに落ちているので、自分に足りない語彙を手っ取り早く見つけられる宝物になります。

「語彙力向上ノート」の例

アウトプットする

覚えた単語や表現はできるだけ自分でも使ってみましょう。

覚えたつもりでも、いざ使おうとすると「『てにをは』はこれで合っているのかな?」「こういう場合でも使っていいのかな?」と、理解が足りていないことがよくあります。

実際に使えないと語彙が増えたとは言えませんし、自分でも使ってみないとなかなか身につかず、すぐ忘れてしまいます。

また、語彙を増やす訓練として、特定の文を別の表現方法に置き換えてみることも有効です。

「俺を甘く見るなよ! そうやって他人を軽んじていると、いつか命取りになるぞ!」

↓ 別表現に置き換え

「俺を見くびるなよ! そうやって他人をあなどっていると、いつか足元をすくわれるぞ!」

助手ちゃん

語彙力を高めるには膨大な時間がかかりますね

レイボン

結局は語学だから、英語を学ぶのと同じで日々たくさんの語彙に触れることが重要だよ

瞬発的に語彙を増やす短期的方法

類語辞典を活用する

手元に類語辞典を置いておき、小説を書きながら「ここはもっと違った表現をしたい」と思ったときに辞典を開きましょう。スマホでの検索でも構いません。

その場しのぎ的ではありますが、自分が備えている語彙力だけではなし得ない表現の幅を小説に与えることができます。

語彙力を上げるための本を読む

世の中には「語彙力を上げるための本」があります。

これは語彙力を上げるハウツー本のことではありません。これも類語辞典に近いもので、たとえば「喜ぶという感情の表現の仕方にはこんなやり方があるよ」だとか、「女性の容姿の描写にはこんなものがあるよ」というふうに、いま欲しい語彙をその場で与えてくれる本のことです。

以下にオススメの本を紹介します。

① プロの小説家が教えるクリエイターのための語彙力図鑑/秀島迅

初心者向け

この本では、感情、身体的特徴、声、感触、情景描写、色彩のそれぞれについて、さまざまな表現方法が紹介されています。

たとえば「怒り」の場合は「憤り」「激昂」「眉間にしわが寄る」「青筋を立てる」「歯がゆい」などがあります。これはほんの一例で、「怒り」だけで42種類の単語や表現が掲載されています。

表現を通してキャラを引き立たせるコツなども書いてあるので、初心者にとっては語彙力が増やせるだけでなく表現力も向上するよい教材になるでしょう。

中級者、上級者なら知っている言い回しや自分で思いつける表現も多いですが、逆に言えば初心者が中級者以上になるための近道になり得る本だと言えます。

② 大人の語彙力ノート/斎藤孝

万人向け

主にビジネスで使える語彙を紹介している本です。堅物キャラのセリフや厳粛な雰囲気を書きたいときに特に役立ちます。

たとえばエリートビジネスマンによる上司との会話、会議での報告、営業シーンなどを書こうと思ったとき、どんな言葉を使うのかすぐに思い浮かぶでしょうか。

ファンタジーでも臣下が国王と話すときに丁寧な言葉選びをしなければなりません。

こういうことを言いたいけれど、そのかしこまった言い回しがわからない。そんな問題を抱えたときには、本書を見れば一発で解決します。

よく「作者よりも頭のいいキャラクターは書けない」と言いますが、そんなことはありません。セリフの言い回しひとつで、じゅうぶんに頭のよさそうな雰囲気のキャラクターが作れます。

例文が書かれているので、その言葉の使い方がその場ですぐにわかるところもありがたい一冊です。

助手ちゃん

これなら上のほうで紹介された長期的方法で語彙力を身に着ける必要はないですね

レイボン

類語や別表現を調べるたびに筆が止まるから、時間が許すなら長期的方法で語彙力を伸ばすほうが望ましいよ

読者に辞書を引かせるな!

たくさんの語彙を身に着けたからといって、それらを闇雲に使ってはいけません。

作中に難解な言葉が使われていると、読者は手を止めて言葉の意味を調べなければなりません。そうなると物語への没入感が阻害されてしまいます。

読者は「この作者は難しい言葉をたくさん知っていてレベルが高いな」ではなく、「この作品は難しくてつまらないな」と感じ、読むのをやめてしまうでしょう。

作家の自負があるのなら、読者のことを第一に考えた作品作りを心がけましょう。

まとめ

この記事では、語彙力を向上させる方法として以下のことを解説しました。

  • 語彙力があればキャラクターの個性を描き分けられるし、読者の没入感が増す
  • 多くの本を読み、語彙をメモし、アウトプットすることで着実に語彙力が向上する
  • 類語辞典の活用、語彙力を上げるための本を読むことで短期的に語彙を増やせる
  • 闇雲に難解な言葉を使うのは避けるべし

作者の語彙が多いほうが魅力的な小説を書けますが、作品に合った語彙選びも重要です。

単なる語彙自慢にならないよう、読者ファーストの作品作りを心掛けましょう。

助手ちゃん

歴史小説では難しい言葉を使って、児童文学では平易な言葉だけを使うみたいに、ジャンルによっても語彙を選ぶ必要がありますよね

レイボン

書いている小説の読者の年齢層についても考えたいところだね