小説には最低限守るべき文章のルールがあります。
これができていないと、読者がその部分を見た瞬間に「これはレベルの低い作者による作品だ」と読むのをやめてしまうかもしれません。
新人賞への応募だとなおさらです。読むに値しない作品とみなされ、即座に切り捨てられるでしょう。
せっかく時間をかけて小説を書くのだから、ちゃんと読んでもらえるよう最低限の質を備えた作品にしたいものです。
そのためには小説を執筆する上で守るべき基本のルールを知る必要があります。
当記事で小説の基本ルールを知って、良い小説を書きましょう。
- 文章の基本ルールを知りたい
- 人に読まれても恥ずかしくない小説を書きたい
スポーツもルールを知らないとプレイできませんもんね。
ルールを知らずに小説を書くのは、サッカーなのにボールを腕に抱えてゴールに突っ込むようなものだね。
小説執筆における7つの基本ルール
①段落の最初は一字下げる
段落の書き出し部分には全角スペースを入れて一字分下げます。これを「字下げ」といいます。文章のはじめや改行後には字下げをしましょう。
ただし、会話文などでカギカッコ【「」】を使う場合は字下げはしません。
レイボン先生が顔をしかめた。
助手ちゃんは尊敬する先生に対して失礼な態度だったと反省した。深々と頭を下げて謝罪する。
「先生、大変申し訳ございませんでした」
レイボン先生が顔をしかめた。
助手ちゃんは尊敬する先生に対して失礼な態度だったと反省した。深々と頭を下げて謝罪する。
「先生、大変申し訳ございませんでした」
なお、小説投稿サイトでは字下げ機能があり、ボタン一つ押すだけで自動で字下げしてくれます。
②カギカッコ【「」】の中は句点【。】で終わらない
文章のおわりには句点【。】を入れますが、会話文などに使用するカギカッコ【「」】内の文末には句点を入れません。
心の声を表現する場合に使うカッコ【()】でも同様です。
「先生、大変申し訳ございませんでした」
(助手ちゃん、あせっていて面白いなぁ)
「先生、大変申し訳ございませんでした。」
(助手ちゃん、あせっていて面白いなぁ。)
③カギカッコ【「」】内で改行しない
会話文などに使用するカギカッコ【「」】内では、基本的に改行はしません。
セリフが長くなって読みにくくなる場合、会話を区切って地の文をはさむようにするなどの工夫をしましょう。
「べつに怒ってないよ。でもまあ、その心がけは大切だね。その調子で今後も謙虚にふるまうといい」
「べつに怒ってないよ。
でもまあ、その心がけは大切だね。
その調子で今後も謙虚にふるまうといい」
④セリフ内にセリフを入れる場合は二重カッコ【『』】を使う
セリフの中で他の誰かが言ったセリフを言うと、カギカッコ【「」】の中にさらにカギカッコ【「」】が必要になります。その場合には中のカッコを二重カッコ【『』】にします。
「助手ちゃんは『先生にムカついたから明日はサボります』って言っていたよ」
「助手ちゃんは「先生にムカついたから明日はサボります」って言っていたよ」
複数人同時の発言を表現する場合に、カギカッコ【「」】を重ねる表現方法があります。その場合はカギカッコ内にカギカッコを入れても構いません。
同時に発声する人数分だけカギカッコを重ねる場合もあります。
「君たちは真似しないように」
「「「はい!」」」
三人は同時に返事をした。
⑤疑問符【?】や感嘆符【!】の後は1字分あける
疑問符【?】や感嘆符【!】の後に改行せず文章を続ける場合、続きの文章との間に全角スペースを入れて一字分あけます。
なお、それらが改行前の文末やカギカッコ【「」】内の最後にくる場合は全角スペースは入れません。
「助手ちゃん! 明日は来るの? 来るよね?」
「助手ちゃん!明日は来るの? 来るよね? 」
感嘆疑問符【!?】も疑問符【?】や感嘆符【!】と同様です。
なおWordの縦書きで【!?】を使う場合、全角で【!】と【?】を入力しても感嘆疑問符にはならないので、環境依存文字の【⁉】を使うか、半角で【!?】と入力して縦中横で向きを縦向きに変えましょう。
※画像はMicrosoft Office Word 2019の場合。
⑥三点リーダー【…】とダッシュ【―】は偶数個つなげて書く
三点リーダー【…】は沈黙や余韻、ダッシュ【―】は会話の中断を表現するのによく使います。
この三点リーダー【…】とダッシュ【―】は偶数個つなげて書きます。基本的に2個で使います。奇数個で使うのはNGです。
また、沈黙を表現するためにカギカッコ【「」】を三点リーダーだけにする場合、基本的に4個つなげて使います。沈黙が長いことを表現するために4個以上に増やしても構いませんが、増やす数は偶数個にしましょう。
また、中黒点【・】を連続させて三点リーダーの代わりにするのはNGです。
助手ちゃん、グレちゃった……。
・助手ちゃん、グレちゃった…。
・助手ちゃん、グレちゃった・・・・・・。
⑦数字は縦書きは漢数字で、横書きはアラビア数字で書く
数字を書く場合、縦書きでは漢数字、横書きでは半角のアラビア数字を使うのが一般的です。
漢数字は「一、二、三……」、アラビア数字は「1、2、3……」のことです。
ただし、縦書きでアラビア数字が必要な場合、横書きで漢数字が必要な場合、横書きで「万」や「億」などの単位となる漢数字とアラビア数字を併用する場合など、様々なケースが存在します。
・円周率の「3.14159265……」は縦書きでもアラビア数字。
・「一石二鳥」などの慣用句は横書きでも漢数字。
・固有名詞は縦書きや横書き関係なく元の表記。
数字の表記に関しては他の①~⑥のルールほど絶対的なものではないし、簡単なものでもありません。
必要に応じて縦書きでアラビア数字を使ったり横書きで漢数字を使ったりします。
ただ、小説で数字を扱う際には以下のことを意識しましょう。
- 違和感なく読みやすい表記にすること
- 作品内で表記を統一すること
まとめ
小説執筆における7つの基本ルールは以下のとおりです。
- 段落の最初は一字下げる
- カギカッコ【「」】の中は句点【。】で終わらない
- カギカッコ【「」】内で改行しない
- セリフ内にセリフを入れる場合は二重カッコ【『』】を使う
- 疑問符【?】と感嘆符【!】の後は1字分あける
- 三点リーダー【…】とダッシュ【―】は偶数個つなげて書く
- 数字は縦書きは漢数字で、横書きはアラビア数字で書く
小説を人に見せるのであれば、上記①~⑥のルールについては必ず守りましょう。
⑦に関しては、基本的に縦書きでは漢数字、横書きでは半角のアラビア数字を使いますが、何より「違和感なく読みやすい表記にすること」と「作品内で表記を統一すること」を意識しましょう。
ところで先生、何ですか……あの例文は……。私、グレてませんけど!
お、三点リーダーのルールを守れて偉い!